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コロニーの増殖と不死

花粉だらけのミツバチ   

ミツバチたちはコロニーの繁栄とその先にある増殖をめざして日々奮闘しています。 先にコロニーはひとつの生命体だと述べましたが、この生命体が分裂、増殖するのです。 この増殖を分蜂(ぶんぽう)といいますが、これについては以下のとおりです。

 

 

◆コロニーの増殖「分蜂」

5月のゴールデンウィーク頃になると、順調に繁栄したコロニーから分蜂が起こります。 これまでの女王蜂と分蜂軍側につくことを決心した働き蜂たちが、暖かい昼下がり、いっせいに巣外へ飛び出します。 巣にはもうすぐ生まれる新女王蜂と、コロニーの運営に十分な働き蜂が残され、継続してそこでの繁栄をめざします。 なお、分蜂軍はコロニーに蓄えていた食糧の一部を胃の中に貯めてから出発します。 もしもすぐに次の営巣地を見つけられなかった時のため、それに次の都市を建設するための糧として、餞別をもらっていきます。

分蜂軍たちは、一時、近くの木の枝などに蜂球を作り、新しい営巣地に適した場所への探索隊を派遣します。 探索隊は、周辺の地理に詳しい外勤蜂が担当するようです。分蜂前に事前に適地を下調べていることもあります。 探索蜂それぞれに、これはと思う場所が見つかると、枝にぶら下がっている仲間たちの蜂球に戻り、 その仲間たちの上で採餌のときと同じようにダンスを踊ります。 よい営巣地ならば激しいダンスを、そうでもないが…ということならば控えめなダンスを踊ります。 そうして、ダンスに誘発された新しい蜂が候補地を見学に行き、評価を仲間に報告します。 最終的により多くの支持者を集めた候補地が、次の営巣地に決定するのです。 営巣地が決まると、塊になっていた蜂球が解け、営巣地へ黒い煙のようになって飛び立っていきます。 新天地ではゼロからの都市建設が始まるのです。

以上のようにして、コロニーは分裂し増殖します。 分裂した一方は同じ場所で永続的に生き続け、もう一方は新天地へと旅立ちます。

 

◆個は死ぬが、全体は死なない

ここで視点を変えてコロニーの永続性について考えてみます。 働き蜂の寿命は夏でわずか4週、女王蜂は3〜5年、オス蜂は2〜4週です。 コロニーには数万匹の蜂がいますが、寿命や事故などでそのうちの1%が毎日死んでいるとすると、 約4ヶ月間で女王以外の蜂が完全に入れ替わることになります。 しかし、個々の蜂がいくら入れ替わっても、コロニーは変わらず保っています。 つまり、たとえ個々の蜂が短い命でも、全体がうまくいっている限り、コロニー自体は死なないのです。 やはりミツバチが目指しているのはマクロな視点で見たコロニーという生命体の繁栄なのでしょう。

  
     
  
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